2008.03.17
Tea Break -社長ブログ-
Yoshiki 隠れ家ごはん『ALL STAR勢ぞろい 迷宮のパラレルワールド』
(17,March,2008)
「部長、大変です...事件です!社長が...社長が戻ってこられました...」
事務スタッフの尾形 茂乃が自転車通勤で鍛えたカモシカのような足を急停車させ、呼吸を整えていると、その声を聞きつけた取締役で営業統括部長の稲垣 博文が「何を慌てとるんや!山より大きな猪は出んぞ!」といつもの口ぐせを言ったものの、尾形の放った言葉が脳裏に達するや否や、「何い~?社長が戻ってこられた?早よ言わんかい!」と階段を駆け足で下りていった。このふたり、宴会の席ではいつもボケと突っ込みの名コンビである。因みに、尾形が突っ込み役ではあるが...
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「わしゃ、これから中国出張じゃ!再来週はタイに行かないかんしな。ヨロシクッ!!」と、年齢を感じさせないエネルギッシュな顧問の増尾 勝久が、足早に事務所を飛び出していくと、給湯室でお茶を入れていた、温泉好きロハス娘の香取 真澄絵が、ピアニカで週末にボランティア活動をしている、先輩社員の上岡 加代里に語りかける。
K:「増尾顧問って、ホントにタフですよね・・・」
U:「でも、もうすぐ紫色のお祝いらしいわよ!」
K:「紫色のお祝いって?」
U:「還暦が赤でしょ、その次!」
K:「へぇ~、上岡さんて、ものしりですね。」
U:「詳しいのは、山根 康広だけじゃないわよっ!」
すると、ふたりの会話を小耳に挟んだ、冬でも半袖で通すほどの元気印・伊崎 美智代が、「ウチの会社は、私たち熟年パワーでもってるのよ!おーほほほっー」と快活に笑い、20キロ近くはあるダンボールケースを軽々と持ち上げ、出荷の準備に向かった。
そのうしろ姿に「伊崎さん、私もすぐ手伝いに行きますよ!」と声をかけたのは、長身で頑健に鍛え上げた身体の持ち主、営業課長の阪本 忠輔であった。彼はインターネットのホームページ上で、食品加工用のあらゆる製品をデータベース化した「うまいもん検索」の管理をしているところだった。
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その頃、研究開発室では、管理栄養士の資格を持つがんばり屋の前島 幸穂が、わが家では子煩悩パパであるマネージャーの田宮 昌治と新製品の打ち合わせをしていた。
M:「それにしても社長...2年半前に開発テーマだけ仰って、
いったいどこに行かれてしまわれたんでしょうね?」
T:「でも前島さんが頑張って、これだけのラインナップを完成させたんだから、
社長もきっと草葉の陰で喜んでおられるよ!」
M:「社長を勝手に殺さないで下さい!!」
T:「ごめんごめん...」
「そうですよ、田宮さん言い過ぎ~。それはそうと、たった今、社長が戻ってこられましたよ!」割って入ったのは、気配り上手で「永遠の好青年」とみんなから慕われる営業課長の大友 繁之であった。
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ところ変わって、ここは雪化粧の美しい金沢・兼六園の近くに止めた車の中で、いつも傍らに置いている数冊の推理小説を眺めながら、忽然と消えた社長の消息を推理しているのは、北陸営業所長の橋爪 元也であった。 お得意先への約束時間までの短い時間に、小説さながらの推理に思いをめぐらせていたのであった。
そこへ突然携帯電話の呼び出し音が鳴った。
「今、本社からお電話があって、社長が突然お戻りになられたようですよ。」その元気で明るい声の主は、営業所のムードメーカーで、細やかな心配りに長けた出光 香音である。
すると彼女の向かいの席で、「社長、いい嫁さんみつけてきたかなぁ~」と、前所長で今は参与の寺島 聰昭が独り言を呟いた。社長の叔父と同級生で、しかも偶然にも社長の大学ゼミの先輩にあたる寺島は、殊更そのことが気にかかっていたようであった。
「えっ?社長2年余りも嫁さん探しされてたんですか?」とその独り言に反応したのは、北陸営業所の若きホープ、正義感あふれるスポーツマンの村井 正孝であった。
「2年どころか...」と寺島が口を濁す。
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時を同じくして、ここ首都圏営業所にも「社長帰還」の知らせが入り、ひっきりなしに鳴る電話の応対に追われているのは、「ニッポンのお母さんはがんばっている」という大滝秀治の味わい深いナレーションが耳に残るCMに登場するお母さんを地で行っている菅原 弘奈である。
傍らで、今もバンド仲間と、ライヴでビートルズナンバーを奏で、「ジョン・レノン命」の熱き心の持ち主、小室 広重も「この2年間で100件以上のラーメン屋を回って、社長を探したけど、見つからなかったんですよ。これで社長のサックスとようやくセッションできますよ!」と人懐っこい笑顔を浮かべた。
「小室さん!小室さんがラーメン通なのはわかりますが、社長を探すのは、ラーメン屋よりも鮨屋とかイタメシ屋の方がよかったんじゃないですかね?」
口を挟んだのは、学生時代にフットサルで鍛えたフットワークと、若い割には全体的視点を持った(時折みせる勇み足が玉に瑕ではあるが...)市村 弘嗣であるが、彼もまた社長の帰還を頻りに眼鏡を持ち上げながら喜んでいた。
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「社長!2年もどこに行っておられたんですか?」と、息せき切って階段を降りてきた部長の稲垣が、玄関にポツンと佇んでいる社長に問いかけると、後に続いた社員たちが周りを取り囲んで、不思議そうに社長の顔を覗き込んだ。
「どこにって、一緒に仕事してたじゃないですか!2年?えっ?みんな、どうしたの?
そういえば、みんなの名札に書いてある名前が違っているような...ここは一体どこなんだ?」
周りでざわめいたいた社員全員が、いくぶん青ざめた社長の顔を覗き込んで、
「社長、だいじょうぶですか!?」
「社長、だいじょうぶですか...社長さん、大丈夫ですか...キタマさん、大丈夫ですか......コラッ!社長!起きなさい!」
「うーん、あれっ、店長に、ゆりちゃん!どないしたん...?」
「どないもこないも...せっかく持ってきていただいたご自慢の「ベリー&紅酢」を、ゆりちゃんと楽しみにしていたのに、『これはねぇ、焼酎と割ったら美味しいんだよ。』って、ご自分でほとんど飲んでしまわれたんですよ!『ホームページでお店を紹介するから、ネタ探しに行くよ』って、まだ何にも取材されてないんですけど...」と、店長のまほちゃん。
「えっ、じゃあ今までの話は夢だったの? 夢にしてはずいぶんリアルだったような...」
どうやら私は時空を超えて、迷宮のパラレルワールドに迷い込んでいたようだ...
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というわけで、またまた長いfermata(小休止)で、2年余りもご無沙汰してしまいました...
方々で「更新してくださいよ!」と叱咤激励を受けながらも、Tea breakを長期間おやすみし、申し訳ありませんでした。
「行きつけの店はそんなに少ないのか!」という声が聞こえてきそうですね...(^.^ ;
さて、2年半、パラレルワールドを彷徨っていた私の、記念すべき「隠れ家ごはん」復活の第1弾でご紹介するお店は、「迷宮のパラレルワールド」にもご登場いただいた、うら若き乙女(?)ふたりで切り盛りしている~ほっこりくつろげる手作りの食卓~とも言えるお店です。